漫画のできるまで その3 ― 2012/11/04
■下描き
下描きはアナログです。
アナログのネームの時は、原稿用紙にネームを書いているので、それをベースにそのまま下描きに入りますが、デジタルで書いたネームは、原稿用紙にコマ割やセリフを書き写します。
原稿用紙は市販の、135kgの上質紙を使っています。
トレースや、合成する絵を描くのは、110kgの上質紙です。
画面の原稿用紙は、わかりやすくするために線や数字を濃くしていますが、実際はもっと薄い色で印刷されています。
赤い線のワク内が、基本のコマの範囲になります。
(赤い線は印刷されていません。わかりやすくするために描き込んだものです)
「漫画用原稿用紙」は、今は青いガイドライン線の印刷されたものが売られていますが、昔は市販のものがなかったので、全紙の上質紙を買ってきて、自分でカットして使っていました。カットの際に、よく紙で手を切りました……。
やがて、B4サイズにカットされた、ワク線の印刷されていない上質紙が販売されるようになり、しばらくはそれを使っていました。
連載をするようになって、忙しくなると、ワク線の基準線をを引く時間も惜しいということで、基準線を印刷した原稿用紙を発注していました。
発注が500枚からなので、届いた原稿用紙を見て、当時はちょっと気が遠くなりました。これ全部にまんが描くんだ……って(笑)。
ということで、昔使っていた原稿用紙も載せておきます。
こんな感じで、ワク線と名前が印刷してありました。
下描きの時の原稿は、こんな感じです。原稿をコピーしたものをスキャンしているので、ちょっと質感が出ていませんが。
ワク線からも絵がはみ出してます。
画面からはみでるような、アップや、全身を描く時は、ネーム用紙の裏などをつなげて描いたりします。
コミックス 人妻編 9巻 115ページ
人物線から入れていくので、背景などはこの段階では入っていませんが、5コマ目のように、人物にかかる調度品などは描き入れてあります。
下描きはシャープペンシルで。芯はBかHBです。
季節によって紙の状態が変わるのと、手の負担具合によって使い分けています。
消しゴムは PLUS の AIR-IN というものです。

*長いこと漫画を描いていますので、画材もいろいろと変化しています。ここでご紹介するのは、最近おもに使っている画材です。
■ペン入れ
ペンが入ると、こんな感じになります。
背景や効果線などは、指定してアシスタントさんに描いてもらいます。
基本、人物のほうを先にペン入れしてから、アシスタントさんにお願いします。人物にペンが入っていないと、背景の下描きなどの際に、人物線を消してしまう可能性があるからです。
線を消されるとこちらも困りますし、アシスタントさんも、人物線を消さないように作業するのは気を使いますし、時間もよけいにかかってしまうので、人物のペン入れが先となります。
6コマ目のように、遠景の背景の建物の廊下などに、小さく人物が入る場合は、先に背景を描いてもらうこともあります。人物にあわせて背景を描くより、背景にあわせて人物をあとから描くほうが、大きさをあわせやすいからです。
また、私の作業が追いつかず、先に背景を……ということもあります。
そんな場合の人物と背景の合成は、あとからデジタルで行います。
「ざ・ちぇんじ!」の頃までは、背景は自分で描いたもののほうが多かったのですが、今ではアシスタントさんに描いてもらったもののほうが、圧倒的に多いです。
この原稿では、「瑠璃の唐衣のえりの中の模様、扇、背景、1コマ目の藤宮の髪の毛の4カケぼかし」の部分が、アシスタントさんに描いてもらった部分です。
もちろん自分で背景を描くこともありますが、たいていは資料のないものや、説明が難しいものに今は限定されています。
資料のないモノは、ねつ造しなくちゃならないので(笑)。
「たぶん、こんなカンジ。
きっとね、こうだったんじゃ、ないかと……思うんだけど。
きっと、そう! GO! GO!! GO!!! 」
すみません、けっこうウソ描いてます(笑)。
あ、背景の中でも、牛と馬は私です。
牛車の牛なども、アシスタントさんに牛車までは描いてもらって、牛はあとから描き入れていました。
「動物スケッチ」や「乗馬ライフ(雑誌)」などを参考にしていました。
「なんて素敵にジャパネスク」を描いていた頃、馬のお尻側の資料がなく、テレビでやっていた馬術競技会をビデオに撮っていたのを思い出し、「馬! 馬のおしり!」と、馬のお尻が映っているところを必死でさがしたことも、今はいい思い出……(笑)。
主要キャラクター以外の人物でも、資料のないものなどは、アシスタントさんに指定が出し辛いので、それらしく見えるよう自分で描いていました。
たとえば↓こんな部分です。
牛車はアシスタントさんが描いています。
コミックス 人妻編 3巻 109ページ

こういう小さいモノも、線の省略具合を指定するほうがたいへんなので、自分で全部描いてしまいます。
コミックス 人妻編 3巻 110ページ

人物は私が描いていますが、背景や、床、高彬の下の敷物や、枕元の器などは、アシスタントさんが描いています。
コミックス 人妻編 11巻 131ページ

ペン先は、Gペンと丸ペンの二種を使っています。
人物線はたいていGペンです。
丸ペンは背景や効果線、細い線で描き込みたいところに使います。
上記のような付けペンは、ペン軸にさして使います。
以前はペン入れに、墨汁を使っていましたが、人妻編からは製図用インクを使っています。
また、書き文字などはミリペンや、筆ペン、マジックなどを使うときもあります。
その後消しゴムをかけます。
髪の毛のベタ(黒く塗ってある部分)は、自分で塗ります。
そして、はみ出した部分、ほかをホワイトで修正。ホワイトは、以前「アナログのカラーでの描き方」でご紹介したのと同じドクターマーチンや、修正液を使います。広範囲の修正はデジタルでします。

この段階で黒く塗っていないところは、あとからデジタルでベタを入れます。
下の画像でいうと、5コマ目の、藤宮さまの頭などが、あとから塗る部分です。
そして、デジタルにはないトーンを貼ります。
アミトーンや、グラデーションのトーンなどは、デジタルで貼るほうがラクですが、ニュアンス的なトーンは、アナログで貼ったほうがいいので。
上で使われているような花のトーンは、「ニュアンストーン」に分類されます。
なので、そういう種類のトーンの指定をアシスタントさんに出すときは、、貼るトーンを渡しながら、「ぽわぽわと流して」「ふわっとした感じでぽよぽよと散らして」「キラキラをほわ~んとした感じで」と、自分でも「なんじゃコリャ」という指定内容になります(笑)。
続きます。






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