漫画のできるまで その82012/12/17


■エフェクト

エフェクトは使いすぎると、デジタルデジタルした画面になってしまうので、私はあまりモノクロ原稿では使いませんが、こんな感じのデジタル処理とかです。

「人妻編」コミックス6巻118ページ2コマ目



拡大すると、こんなふうに線がドットの集まりになっています。



カラーの原稿のときは、このエフェクトという機能をよく使います。
線をドットに変換するだけではなく、にじませたり、ぼかしたり等、いろいろできます。

たとえば、このブログの横のバナー絵にエフェクトをかけてみると、こんな感じになります。


これはふつうにぼかしたもの。


横にぶれた感じのぼかし。


外側がぼけている。


外側が放射状にぼけている。


紙の質感を変えた感じにしたもの。


印象派の絵のような点描。


こんなのもあります。

面白かったので、いろいろやってみました(笑)。


■統合&二値化

デジタル原稿は、先にも書いたように、何枚ものレイヤーで構成されているので、それを一枚に統合します。
この段階では原稿のデータのモードが「グレースケール」になっているので、それを「二値化(モノクロ二諧調)」にします。
そのあと、絵のふちをきれいに切り落とし、えんぴつ書きのセリフを消します。



セリフは、原稿用紙に書き入れた段階で、コピーをしたものを編集部へ送ってあるので、途中の作業で消してもいいのですが、絵と文字のバランスをみるために、最後まで残しています。


■印刷&入稿

「人妻編」連載初期の頃は、この段階で、レーザープリンターで印刷したものを編集部に渡していました。
最初の頃はデジタルに慣れていなかったため、印刷した原稿にトーンを貼ったり、描き忘れた部分などを描き足したりしていました。

印刷された原稿にトーンを貼ると、トーンの糊の部分に印刷部分のトナーが持っていかれたり、カッターで切るときに、トナーが削られたりして大変でした。
おもにアシスタントさんが、ですが……(汗)。

その後、データのままでも入稿できるようになったので、データ原稿を圧縮して、ネット回線を使って編集部に送っています。

データでの入稿と、印刷した原稿での入稿では、本になったとき、少しだけ線に違いがでていました。
レーザープリンタでは、600dpiという解像度で印刷されるのですが、漫画の原稿となると、ちょっと線が荒くなっていました。

連載の途中までは、印刷したものを原稿としていたので、ページによってはデジタルで処理するより、アナログで処理したほうがよいものもあり、デジタル、アナログ、混合の原稿でした。
私の手元には、スキャニングしたあとの、ベタやトーンを貼っていない原稿が残っているのですが、混合原稿は、一部ををアナログ原稿で渡しているため、数ページ欠けた状態で保存してあります。

データでの入稿になってからは、元の原稿が欠けるということはないのですが、時々トビラのページだけアナログということもありました。
トビラページは、タイトルのレイアウトの都合もあり、本文の原稿より早めに入稿するので、アナログ処理のほうが早いと判断したときは、アナログで入稿していたからです。

その場合は、宅急便で編集部に送ります。
原稿が折れたりしないよう、厚紙で保護するので、段ボールなど、ちょうどいい大きさのものが出ると、とっておきます。

瑠璃や高彬は、岡山の桃だの、電化製品だのの厚紙にはさまれて、編集部に送られていました(笑)。


■進行表

デジタルになってからは、作業中、手元に原稿がないので、仕事の進み具合がわかりにくいため、「進行表」を作っていました。
こんな感じで、その項目がすむと、チェックしていくというものです。
他にも、50ページ用の進行表があります。



上部の項目は、その時々の進行状況によって変化します。



まだデジタル進行に慣れていない頃、印刷した原稿を渡した後、編集さんから「原稿が2枚足りない」と電話がかかってきました。
進行表を見ると、ちゃんと「印刷」にチェックが入っています。

このとき、まったく自分のミスだとは思っていなかった私ですが(←おい)、PCの中の原稿のフォルダを見ると、印刷済みのフォルダに、その2枚は入っていませんでした。

つまり、最初から印刷されてなかった、と……。

「え~~~っ! 誰だよチェックしたの!!」  ←……自分です。

原稿は間に合いましたが、編集さんには平謝りでした。
進行表にチェック入れてる意味がないというか……(汗)。

また、データでの入稿時には、同じページが重複していて、1ページ足りなかったこともありました。
これもまた、編集さんからの連絡で判明しました。

○ページに△ページを上書きしてしまったため、△ページが2枚になり、○ページが消えてしまっていたという状態でした。
ファイルのページ数はあっているので、送るときに気がつかなかったんですね。

これは元ページが残っていたので、消えたページを再度データで送って、ことなきを得ました。

どちらもアナログ原稿のときは、絶対に起こらなかったミスでした。
以降、最終チェックはしっかりやっています。

アナログもデジタルも一長一短ですが、ミスのほとんどは、どちらも「ヒューマンエラー」なんですよね……。


続きます。
次回でこの項は終わりです。