漫画のできるまで その72012/12/10


■もよう

もようについては、以前「コメントへのお返事13」で書いたように、スタンプにして乗せていきます。
実際に布に模様があると、動いたときに模様が重なって、うるさく見えたりしますが、漫画なので、なるべくうるさく重ならないように、それでいて同じ場所に模様があるように見えるように、模様は置いていきます。

ブラシに登録してあるもようは、こんな感じです。
古いのは削除していきます。



きものの模様を替えるのは、場面転換をわかりやすくするためでした。
実際には平安時代、そんなにひんぱんに着替えたりはしませんでしたが、場所や日時が変わったことをわかりやすくするために、きもののもようを替えていました。

後宮でも、仕えている女房などは、十二単を着たままごろ寝したりしていましたし。
なので、瑠璃などはよく着替えていましたが、小萩のきものはあまり替わっていません。

トーンやもようが入ると、こんな感じになります。



■合成

ペン入れのところでも書きましたが、背景だけを先に描いてもらい、あとから描いた人物や、書き文字などを、トーンや模様の作業といっしょに合成します。

「人妻編」コミックス11巻、131ページの1コマ目は、女房はあとから描き入れています。
この場合、別の紙に女房を描き、別レイヤーにのせて、はみ出た線を消して重ねます。



また、下描きやペン入れの段階で、大きな修正が入る場合なども、あとからデジタルで合成や修正などをすることもあります。

たとえば「人妻編」コミックス11巻、123、126ページですが、ネームの段階では左大臣と右大臣の位置を決めていませんでした。
しかし途中で、帝の御前では、左大臣と右大臣の座る席が決まっていることに気がつき、確認したら座る位置が逆でした。

その段階で、123ページのペン入れはすんでいて、こんな状態でした。



また、126ページは、下描きまでは入っていて、こんな感じになっていました。



123ページは、コマの形や、ふきだしの位置の関係で、デジタルで反転しては不自然になるので、コピーを取って、そのコピーを反転したものをトレースして、別の紙にペン入れ。

126ページも、同様に反転したものをペン入れ。
描き直した絵が、下のものです。



それをパソコンに取り込んで、元原稿の該当部分に合成したわけです。
合成するとこんな画面になります。



多少の位置のズレなども考慮して、合成する絵は大きめに描いておきます。
そして、いらない線をあとから消します。
上の絵はまだ消していない状態のものです。

合成してできた画面が、下の2枚です。
 


ほかにも、アナログの作業のときに描き忘れたものを、デジタルで描き込んだり、貼ったりします。


続きます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック